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2020年 11月 20日 【力学】2質点系の運動その3

皆さんこんにちは。

担任助手1年の中村祐貴です。

進捗いかがでしょうか。

なんくるないさは沖縄の方言です。

https://www.e-bridal.tv/spot/okinawahougen_nankurunaisa

によれば,
「ちゃんと挫けずに正しい道を歩むべく努力すれば、
いつかきっと報われて良い日がやってくるよ。」
という意味だそうです。

共通テスト(同日)まで残り60日を切りましたが,
自分を信じて,気合を入れて頑張っていきましょう!

さて,今回も前回までの続きの議論をしていきます。
前回までの議論を見ていない
or覚えていない方はこちら↓↓
【力学】2質点系の運動その1
【力学】2質点系の運動その2

それでは,参りましょう。

 

前回までで,2つの運動方程式を足し合わせることで
重心運動方程式
\begin{eqnarray*} m_{total}a_G&=&F_{1,ex}+F_{2,ex} \end{eqnarray*}
を得ました。

実際に求めたいのは個々の物体の運動ですから,
ここで個々の運動と重心の運動の関係について調べます。

 

 まず,重心(質量中心)Gですが前回もお話ししたように
\begin{eqnarray*} x_G=\frac{m_1x_1+m_2x_2}{m_1+m_2} \end{eqnarray*}
で定義されます。

 

すると,重心から見た物体1および2の座標\begin{eqnarray*} x_{1G} \end{eqnarray*}\begin{eqnarray*} x_{2G} \end{eqnarray*}は,

\begin{eqnarray*} x_{1G}&=&x_1 - x_G \\ &=&\frac{m_2x_1-m_2x_2}{m_1+m_2}\\ &=&\frac{m_2}{m_1+m_2} (x_1-x_2),\\\\ x_{2G}&=&x_2 - x_G \\ &=&\frac{-m_1x_1+m_1x_2}{m_1+m_2}\\ &=&\frac{m_1}{m_1+m_2} (x_2-x_1) \end{eqnarray*}

と表されます。
ここで両者が対称な形で表されていることに注意します。

 

すると,(どちらでもよいのですがここでは)

\begin{eqnarray*} x_r=x_1-x_2 \end{eqnarray*}

なる2から見た1の座標を定義すると,
(rはrelative;相対の意味)
両者は次のような,より自然な形で書けることになります。

\begin{eqnarray*} x_{1G}=\quad\frac{m_2}{m_1+m_2} x_r\\ x_{2G}=-\ \frac{m_1}{m_1+m_2} x_r \end{eqnarray*}

これは,重心が物体1と2を質量の逆比に内分するという,
重心の定義
\begin{eqnarray*} x_{G}=\frac{m_1x_1+m_2x_2}{m_1+m_2}\\ \end{eqnarray*}
を反映していることを次のベクトル図で確認してください。

さらに,\begin{eqnarray*} x_{1G} \end{eqnarray*}\begin{eqnarray*} x_{2G} \end{eqnarray*}\begin{eqnarray*} x_r \end{eqnarray*}のうちいずれか1つがわかれば,
他の2つは自動的に決定されることもここから理解できます。

 

さて,今回の主題であった衝突問題を解くためには
ここまでのことで十分なので,一旦問題の考察を深めましょう。

問題を再掲します。


画像引用:https://physics-school.com/two-body-energy/

同様に相対速度を
\begin{eqnarray*} v_r=v_1-v_2 \end{eqnarray*}
重心から見た物体1,2の速度も同様にして
\begin{eqnarray*} v_{1G}=v_1-v_G=\quad&\frac{m_2}{m_1+m_2}v_r&\\ v_{2G}=v_2-v_G=-&\frac{m_2}{m_1+m_2}v_r&\\ \end{eqnarray*}

と求まりますから,弾性衝突により\begin{eqnarray*} v_r \end{eqnarray*}が -1 倍になると,
\begin{eqnarray*} v_{1G},\ v_{2G} \end{eqnarray*}もそれぞれ -1 倍になります。
(もちろん反発係数がeであればそれぞれ –e 倍になります)

 

前回お話しした通り,衝突の内力のみで外力は働かないので
重心速度は保存します。

 

よって,重心から見た相対速度のみを -1 倍にすることで
容易に

\begin{eqnarray*} {v'}_1&=&v_G+\textcolor[rgb]{1,0,0}{(-1)}\frac{m_2}{m_1+m_2}v_r\\ &=&\frac{m_1v_1+m_2v_2}{m_1+m_2}-\frac{m_2}{m_1+m_2}(v_1-v_2)\\ &=&\frac{m_1-m_2}{m_1+m_2}v_1+\frac{2m_2}{m_1+m_2}v_2,\\ \\ {v'}_2&=&v_G+\textcolor[rgb]{1,0,0}{(-1)}\left(-\frac{m_1}{m_1+m_2}v_r\right)\\ &=&\frac{m_1v_1+m_2v_2}{m_1+m_2}+\frac{m_1}{m_1+m_2}(v_1-v_2)\\ &=&\frac{2m_1}{m_1+m_2}v_1+\frac{m_2-m_1}{m_1+m_2}v_2,\\ \end{eqnarray*}
が得られます。

 

いかがでしたでしょうか。
相対速度の意味,わかってきましたでしょうか。

 

今後のために運動方程式的な解釈も行っておきましょう。

\begin{eqnarray*} m_1a_1=F_{1,2}+F_{1,ex}\quad\cdot\cdot\cdot(1)\\ m_2a_2=F_{2,1}+F_{2,ex}\quad\cdot\cdot\cdot(2) \end{eqnarray*}

既に重心の運動は(1)+(2)によりわかっているわけですから,
あとは物体1,2の運動を求めるためには
何がわかればよいのでしょうか?

 

そうですね。
重心から見た物体1,2の運動が分かればよいわけですが,
それは先ほど見た通り\begin{eqnarray*} x_r \end{eqnarray*}を求めればOKということです。

 

そのために物体2から見た物体1の相対加速度
\begin{eqnarray*} a_r=a_1-a_2 \end{eqnarray*}
を求めたいわけですが,
そのためにはどうしたらよさそうですか?

 

その通り。
\begin{eqnarray*} (1)/m_1 - (2)/m_2 \end{eqnarray*}を作ればよさそうですね。
実際計算すると,

\begin{eqnarray*} a_r&=&a_1-a_2\\ &=&\frac{F_{1,2}+F_{1,ex}}{m_1} - \frac{F_{2,1}+F_{2,ex}}{m_2}\\ &=&\frac{F_{1,2}}{m_1} - \frac{F_{2,1}}{m_2}+\frac{F_{1,ex}}{m_1}-\frac{F_{2,ex}}{m_2}\\ &=&\left(\frac{1}{m_1}+\frac{1}{m_2}\right)F_{1,2}+\frac{F_{1,ex}}{m_1}-\frac{F_{2,ex}}{m_2}\\ \end{eqnarray*}
となります。

ただし,最後の変形では作用・反作用の法則
\begin{eqnarray*} F_{1,2}=-F_{2,1} \end{eqnarray*}
を用いました。

ここで,
\begin{eqnarray*} \frac{1}{\mu}=\frac{1}{m_1}+\frac{1}{m_2} \end{eqnarray*}
と定義すると,μも質量次元を持つことから換算質量と呼び
これを用いて

\begin{eqnarray*} a_r&=&\frac{F_{1,2}}{\mu}+\frac{F_{1,ex}}{m_1}-\frac{F_{2,ex}}{m_2}\\ \end{eqnarray*}
と書くことができます。

 

かなりすっきりしましたね。
もうこれでもよいのですが,特に外力が0のとき,すなわち
\begin{eqnarray*} F_{1,ex}=F_{2,ex}=0 \end{eqnarray*}
のときはさらに
\begin{eqnarray*} \mu a_r=F_{1,2} \end{eqnarray*}
とより簡潔な運動方程式に帰着できます。

 

さて,本当はもう少し理論はあるのですが,
いい加減皆さん疲れたと思うので,次回にしましょう。

 

近日中に公開いたします。

 

次回は特に質問の多い
仕事やエネルギーについても掘り下げていきましょう。

 

何かあれば物理以外でも聞いてください。

答えられる範囲で頑張ります笑

明日は本多先生による「期待しない」の哲学です。

 お楽しみに。

それでは,勉強頑張ってください。

横浜国立大学理工学部
担任助手1年 中村 祐貴

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